第六章 貧乏学生の遊び方 

◯ちんねんという男との出会い

先の学生団体のイベントで知り合った人たちと、後日飲み会を開催することになった。単純な交流なのだが、やっぱり熱い。ビジネスをしたい、人生をこう生きたい。普通の学生であれば、サークルの人間関係云々、バイトが云々というぐちに似た会話をするものだと思うが、その飲み会は違った。とにかく意識が高い。

そこで出会ったのがちんねんという男だ。もちろんあだ名なのだが、そのあだ名がこんなに人を表すものはないというほど、ちんねんという名前が外見を表している。同級生である。

ちんねんと意気投合した私は翌週に開催されるゴミ拾いに誘われた。心斎橋にあるアメリカ村が集合場所だった。当時のお金は親の仕送りだけで生活していて、バイトもしていなかったのでお金があまりなかった。だが、ゴミ拾いに行けばお金をかけず(それでも電車賃はかかるのだけど)、人に出会うことができる。また、そこに集まる人はゴミを無償で拾おうというのだから、なかなかおもしろいやつが集まっているに違いない。そう思った。

ゴミ拾い当日は晴天だったのを今でも覚えている。十人ぐらいでのゴミ拾いだったが、和気藹々とゴミを拾っていった。余談だが、ゴミ拾いをしていて一番多いと思うゴミはタバコである。サイズは小さいものの、その量は圧倒的に多い。長いゴミ拾い用のトングで淡々とタバコを拾っていく。後ろを振り返るときれいになった道に、私は満足するのであった。

◯オールナイトゴミ拾い

ゴミ拾いを企画する団体が月に一回企画していたのが「オールナイトゴミ拾い」だ。その名の通り、オールナイト、つまり夜通しゴミを拾い続けるイベント。夜の0時に心斎橋に集まり、終わりは午前3時まで。そこからは始発が出るまでカフェ・バーで交流をする。さすが大阪、夜遅く、朝早くまで店が開いている。そこからグループに分かれてゴミを拾っていく。心斎橋の他、梅田や京都でも開催したことがある。

オールナイトゴミ拾いの面白いところは、なんといってもテンションが高い人が集まることだ。オールナイトでゴミを拾う変人。寝ないで心斎橋に集まる変人。つまり阿呆ばかりなのである。そういった出会いがなにより自分の刺激となっていたのである。

 

オールナイトゴミ拾いには第2回から参加している。そのころは参加者が20人もいなかったように思う(それだけでも十分すごいのだが)。しかし、私が大学3年生になったころだろうか、そのころにはすでに100人近くの参加者を集めるようになっていた。参加するにも先着順で、ゴミ拾いに参加できない人もいるほどだった。もう一度言おう、ゴミ拾いに参加するために先着順で早く申し込まなければなrないのだ。私は参加の公示がされた瞬間、参加ボタンを押していた。つまり、変人で阿呆である。

◯人を誘い、出会い、また人とつながる

面白いイベントは人に誘いやすいというメリットがある。こんなバカげたイベントがあるよ、と言って食いつく人は私と同じく変人だ。だから、話も合うし、共感もしやすい。それがまた楽しかった。オールナイトゴミ拾いに参加する人は間違いなく変人である。

そんな人との出会いがさらなる人との出会いを引き起こすことに、私はやりがいを感じていた。ゴミ拾いをツールとして、今まで会うはずのない人が出会い、交流する。学生も社会人も関係なく、対等に話す環境。それがオールナイトゴミ拾いにはあったように思う。こうやってコミュニティができていくのか、と今振り返ると思う。

 

 ◯学生時代の彼女もゴミ拾いから

私の学生時代の彼女はそんなゴミ拾いへの誘いから関係が発展した。最初に出会ったのは学生限定の飲み会。なんとなく意気投合し、連絡先を交換した。その後、いまいち食事の誘い方がわからなかったのだが、ゴミ拾いに行きませんか?という一言で再び会うことになった。それから早々に付き合うことになる。

夜の0時に心斎橋に集合し、見つけたときは心が踊った。会うのも2ヶ月ぶりだったが、私のことを忘れずに覚えていてくれた。こういう出会い、そしてきっかけがあるゴミ拾いを学生時代の4年間過ごすことになる。

◯まとめ

・人の出会いが人生を変える。

・お金がなくてもボランティアをすればとてもよい人間関係に巡り会える。

・変人の周りには変人が集まる。

第七章 大きな黒い手が私の頭を抱えてもへ続く